2023/06/01 06:00


父は苦学を経てゼネコンに就職。当時の父親が皆そうであったように仕事一筋の人でした。せめてリタイア後はゆっくりと過ごしてほしいと願ったが、86歳で生涯を終えるまでの余暇の長さはいかほどだったでしょう。仏画を描くことを新たな趣味とし、御朱印を受けに寺社を巡ったり、絵画展に出品したりして楽しんでいた。前項で使用した曼荼羅は父によるものです。


(壁掛け将棋盤の試作。曼荼羅を透かせた)

本人によるプロフィール「仏画を描き始めた経緯」のくだりが振るっている。「幼い頃から信心深かった上、長く務めた建築の現場は、工事の『安全』への祈りとともにあった。生涯学習の思いから、某講座で仏教絵画の師に学び…」

絵から伝わる真面目さや根気強さ、手先の器用さなど、私はどれも似なかったなあ。(私は思うように真っ直ぐ線が書けない「線描イップス」なのだ)。遺品整理の際、額装された小品を引き取り、自室に飾ってせめてもの供養としています。


(遺品の仏画。作品の詳細は分からない)