2023/04/01 06:00


※2006年6月、『将棋ペン倶楽部』通信27号に掲載された拙稿を転載します

あったらイイな、こんな将棋グッズ
その① 壁掛け将棋盤


誰にでも会心の一手や、思い出の一局があるだろう。そんなお気に入りの図面を壁に掛けておけたら。絵や写真のように、一つの「作品として」部屋の壁に飾り、いつでも愛でることができたら。

もちろん、一局指したいときには壁から外して対局もできる。将棋を知らない女性が、おしゃれなインテリアとして自分の部屋に飾ってみたくなる、そんな逸品があったら……。

あれこれ思案しているうちに、ちょっとした発明のように思えてきた。そして無性に欲しくなった。試作を思い立った私は、近くの東急ハンズに向かった。

試作のてんまつ

店内をくまなく探せば、それらしい材料は揃うだろうという読み筋である。できれば木材や金属より、ガラスのような光る素材で何とかしてみたい。マグネットは端から禁じ手と決めていた。

駒には、クラフト材料のフロアで見つけたモザイクタイル(25ミリ角)を購入。予定していたアクリル材は、適当なものが見当たらなかった。

盤の土台は額縁で妥協。最後に、盤となるアクリル板をサイズに合わせて切り出してもらい、マス目を巡らせる(壁に掛けるときに駒がずり落ちないようにする)ためのアクリル棒(3~5ミリ角)とともに購入した。

家に戻り、簡単な設計図面を作ってみると、縦幅がぴったりだったのは幸運だった。駒文字は透明シールに印刷して貼り付ける。一番の難関はやはりマス目づくりで、アクリル棒の切断と接着は、手作業の限界を見る思いだった。

楽しみ方あれこれ

アクリル板の下側に、曼荼羅を透かせてみた。9×9の宇宙の広がりにふさわしく思う。女性向きには、パステルカラーの格子柄や、パッチワークのデザインなども良さそう。


名人戦第4局(1994年)
▲米長名人-△羽生棋聖

写真の図面は、米長邦雄会長が「生涯の一手」と述懐する羽生善治挑戦者との名人戦「▲6七玉」である。

好きな棋士の名手妙手を飾るのも楽しい。羽生三冠のファンなら、七冠達成の図か、それともNHK杯の▲5二銀(A図)か。


A図 NHK杯(1989年)
▲羽生五段-△加藤(一)九段

詰将棋は芸術鑑賞そのもの。『図巧』の第1番か、内藤國雄九段のベン・ハー(B図)か。


B図 内藤國雄『図式百番』
第100番「ベン・ハー」

このアイデアが商品となるには、さまざまな改良が欠かせない。機能性や軽量化、コストダウンはもちろんのこと、もっともっとスタイリッシュであってほしい。四角四面の盤のイメージを遠ざけ、柔らかな丸みを感じさせるようなものにならないものか。『インテリアSHOGIボード』。将棋好きなら欲しくないはずがない。

(後略)