2021/06/01 06:00


新聞の囲碁・将棋欄に連載される観戦記。小説と並ぶ二大ロングヒットコンテンツでしょう。新聞社は棋譜の提供を受ける対価として将棋連盟に契約金を支払う。棋士たちのギャラの源ですね。

素材としての棋譜を、料理へと仕立て上げたものが観戦記。メニューには、①指された将棋の解説、②対局の情景描写の他、③上達のヒントやミニ講座、④指し掛け(次譜)の次の一手の出題などがあるでしょうか。

私が忌み嫌うのは、①に終始した符号だらけのもの。読者の一体何人が読み、分かるというのか。それよりも、②の対局者の言動や、盤上盤外の出来事、人間的なエピソードなどを数多く取り上げてもらいたいですね。

今や指し手の善悪はAIに聞けば事足りる。形勢の推移はAIが解析してくれる。それらをわざわざ読むまでもないとばかり、当事者たる棋士たちさえ観戦記にさほど興味を示さないのだとか。

そもそもの活字離れ、新聞離れが進む中、将棋界は繁栄を維持する妙手を繰り出せるでしょうか。